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平均年収500万円で、平均的な暮らしはできるのか?

平均年収

2017年6月に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査を参照すると、日本の全世帯における世帯年収平均値はおよそ546万円であることが分かります。

さらに、同調査の発表資料を精査すると、世帯主が30歳時点での平均世帯年収はおよそ510万円になることが推察できます。

そこで、本日は日本における世帯年収およそ510万円でできる暮らしについて、仮想の家族「平(たいら)」一家にお手伝いいただきながら、探求していきたいと思います。

 
あなた~、今日は私たちが主役みたいですよ~

 
なんだか緊張するな~。どうぞお手柔らかにお願いします。

 

 

 

 

登場人物紹介

夫妻子

それでは改めて、本日このレポートで将来をシミュレーションしていく平(たいら)家の紹介をします。

平一家は、平均的な暮らしをこよなく愛する日本の平均的な家族構成「夫婦+子供一人の3人家族」です。

まずは、平均的な家族である平家の家族状況と夫婦それぞれの収入を紹介します。

平家の家族状況

✔ 夫:均輔
 ⇒ 30歳/会社員/年収310万
✔ 妻:並子
 ⇒ 30歳/会社員/年収200万
✔ 子:中太
 ⇒ 0歳

平家の世帯年収は、夫婦の収入を併せた510万円です。

平家では、平均的な収入を維持することを優先し、中太くんを保育園に預け、妻の並子さんも仕事に就くダブルインカム家族です。現代の日本ではこの姿が平均的と考えました。

というざっくりとした平家の置かれている状況設定&ポリシーができあがったところで、本日のレポートテーマを確認します。

本日のレポートテーマ

平均的な世帯収入で、平均的な暮らしができるのか


この答えを資金計画シミュレーション - 住宅金融支援機構を使って分析し、レポートしていきます。

果たして、平均的な家族形態で、平均的な収入が見込める平家の家族は、平均的な暮らしができるのでしょうか。

平均的な年収と、平均的な暮らしに必要な情報

まずは、現在の日本において、平均的な年収と平均的な暮らしに必要な金額はいかほどなのかについて、その根拠とともに確認していくこととします。

平均世帯年収&年収上昇率

平成28年国民生活基礎調査を参考にすると、世帯主が30才~39才である家庭の平均世帯年収は559万円ということが分かります。この調査では、30代での平均世帯年収559万円が40代、50代と上がるにつれ、次のように上昇していることも把握することができます。

  • 40代の平均世帯年収…686万円
  • 50代の平均世帯年収…768万円

30代と40代の平均金額をもとに年収上昇率を計算すると、年収上昇率は約2%であることがわかります。これは多サイトでの情報とも一致しているため、根拠があると考えました。以上のデータと考察をもとに、このレポートでは平家の年収上昇率を2%と設定しました。

また、30代の世帯年収が559万円ということは、この世帯年収額は30代の中央値35歳時における年収と捉えることができます。そこで、年収上昇率2%を加味した5年前(30歳時)の世帯年収を逆算し、510万円という金額を30歳時点における平家の世帯年収として設定しました。

そして、リクナビによる調査結果である日本の30才時点の平均貯蓄額330万円という情報も平家の家計状況として採用していきます。

ここまでが平家のインカム情報となります。

まとめますと、次の金額が、日本の平均的家計である平家の収入・貯蓄となるわけです。そして、これらの金額をあてはめ、シミュレーションしていくこととします。

平家の収入状況

✔ 世帯年収:510万円 
✔ 年収上昇率:2%
✔ 貯蓄額:330万円

 
私たちって日本の平均的な家計なのね~
私の顔は、平均より上な気がするけど

 
つまり、平均的な暮らしができるってことだね
並子の化粧は、平均より濃いと思うけど…

 

 

 


というわけで、平均的な家族構成で平均的な世帯収入がある平家が30歳時点から将来にわたって平均的と呼ばれる暮らしができるかどうかをシミュレーションしていこうと思います。

さて、次に考えたいことは「平均的な暮らしとはどのような暮らしなのか」ということです。平均的な暮らしに関わる支出額を数値化することは、骨が折れる作業ですが、本日はトコトン考えてみたいと思います。

そこで、まずは平均的な暮らしを実現するために必要な大型支出項目を、以下の4つに絞り検討することとしました。

  1. 日々の生活費
  2. 住宅費
  3. 自動車費
  4. 教育費

以上、4項目について平均支出額を算出し、それらを平均的な暮らしを実現すために必要な費用と捉えることとします。

それでは、各項目の平均支出額を紹介していきます。

30代の平均的な生活費

まずは、平均的な暮らしのもととなる「生活費」についてです。

平成28年8月分家計調査(総務省)によると、1か月間の生活費にかかる平均金額は、236,444円であることが分かります。また、生活費の項目ごとの内訳も示されていますので、紹介しておきます。

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ということで、236,444円を平均的な生活レベルに必要な生活費と考え、平家の生活費に設定していくこととしました。

なお、この生活費およそ24万円には以下の3つの項目が含まれてはいません。

  1. 住居費
  2. 教育費(仕送り金)
  3. 自動車購入費

そこで、生活費以外の上記3項目について平均値を調べていくことにします。

平均的な住宅費

このレポートにおいて、まず頭を悩ませたことが「住宅費の平均値」の根拠です。該当するデータがなかなか得られなかったのです。そのため、少々無理やり感がある根拠になってしまいますが、以下の調査結果を参考に平家の住宅費を設定することとしました。

まず、ライフイベントから見る生活設計|公益財団法人 生命保険文化センターによると、2人以上世帯の場合の持家率は全国平均で73.1%であることが分かります。そして、住宅購入を検討している世帯の割合は49%であることも確認できます。以上の理由より、少々強引ではありますが、平家には住宅を購入をしてもらうこととしました。

 そして、肝心のいくらの住宅ローンを組むのかとことになりますが、フラット35利用者調査:住宅金融支援機構を参考にすると、住宅購入費にかける年収倍率は次のような状況であることが分かります。

  • 注文住宅…6.1倍(平家の場合:3050万円)
  • 土地付き…6.9倍(平家の場合:3450万円)
  • 建売住宅…6.3倍(平家の場合:3150万円)
  • マンション…6.5倍(平家の場合:3250万円)

この数値のどれをチョイスすべきかは悩ましいところです。ちなみに上の4項目のうち発生割合が一番高いのが土地付き注文住宅で、全体の30%に上ります。

そこで、その他の調査結果も調べてみると、家とお金調査 2013|SUUMOがヒットしました。この調査では、年収別の平均ローン実施額が見て取れますが、それによると、平家の世帯年収500万円台では、平均3026万円の住宅ローンを組んでいることが分かります。この金額が住宅金融支援機構の調査金額とかなり似た数値となっていることから金額の根拠としては、信頼できるものであると判断できます。

以上の理由より、平家の住宅費(住宅ローン)は、上の4項目を平均した金額3225万円を設定していくこととします。

続いて、平家の車購入費を紹介します。

平均的な車購入費

生活費に含まれていない自動車の購入費の平均値を設定するにあたり、3つの平均値を調べました。

  1. 1世帯における自動車の平均所有台数
  2. 自動車の平均買い換え期間
  3. 自動車の平均購入価格

以上、3点です。これらについての数値は以下の引用もとより適切と判断した数値をお借りしました。

統計情報 - 一般財団法人 自動車検査登録情報協会では、次のことが分かります。

  • 平均保有台数…1.064台

また、日本自動車工業会の乗用車市場動向調査から、次の2点の平均値を参照します。

  • 平均買い替え年数…7.1年
  • 平均購入費…214万円(雑誌カーライフ調査では298万)

ちなみに、自動車は新車か中古車かで金額が全く変わってくるわけですが、この点における統計を見てみると、

  • 新車を購入…71.7%
  • 中古車を購入…26.8%
  • 両方…1.5%

という状況です。みなさん、新車にこだわり、車にかなりの金額を掛けていることがうかがい知れます。

以上のデータをもとに、平家の自動車購入費に関しては、所有台数1台・購入金額214万円・買い替え年数7年を設定していくこととします。

平均的な教育費

最後に、教育費の平均値を見ていきます。

教育費を考えるうえで、高校卒業後の進学先状況で、当然大きく総費用は変動します。数字で見る高等学校│文部科学省を参考にすると、高校卒業後の進学先割合は次の通りです。

  • 大学等進学者割合…55.1%
  • 専門学校…22.3%
  • 就職者15.4%

このように2人に1人以上が大学進学等を行っている状況を見ると、平家の長男である中太くんにも大学進学を目指してもらいたいと思います。

教育費のことを考えれば、当然国公立大学に進学してほしいと考えてしまいますが、現在私立大学に在籍する生徒数は大学進学者全体の74%にも上るため、平均的な学力である中太くんには将来私立大学へ進学してもらうことを想定していくこととします。

それでは、平家の長男・中太くんにかかる教育費をみていこうと思います。

保育料(0歳~6歳)

年収によって変わる保育園の費用!ズバリ平均おいくら?|ベネッセ教育情報サイトによると、世帯年収500万円の保育料は1か月で約4万円ほど費用が発生します。ここに給食費や時間外保育費等が加わっていくようですが、ここではそれらは一旦無視し、平家の保育料の年額を48万円と設定することとします。

小・中・高(~18歳)

文部科学省によると、私立高校への進学割合は約30%ほどであり、小・中となるとさらに低い数値となるため、平中太くんは、小学校から高校まで公的な教育を受けることとします。そして、結果の概要-平成26年度子供の学習費調査:文部科学省を参考にすると、それぞれの段階における平均教育費が見て取れます。

  • 小学校…321,708円(年間)
  • 中学校…481,841円(年間)
  • 高等学校…409,979円(年間)
大学(~22歳)

最後に、一番お金が掛かる私立大学へ進学した場合の教育費についての設定です。お金|Benesse マナビジョン 保護者版が、文部科学省や大学生協などの信頼ある引用元を用いてかなり分かりやすくまとめてくれていますので、こちらを値を平均値として採用していきます。そして、大学生の60%以上は自宅から大学へ通学していることも見て取れましたので、中太くんには自宅から通ってもらうこととします。

  • 大学受験費用…293,000円
  • 初年度納付金…1,324,026円(年額)
  • 2年目以降学費…3,214,557円(3年間)
  • 自宅生生活費…397,992円(年額)

以上の費用を合計した金額が、自宅から私立大学へ通う場合の4年間分の教育費になるわけです。これらの費用合計額は6,423,551円となり、これを4年間で均した平家長男の中太くんの教育費は1,605,887円と設定します。

平均世帯収入で、平均的な暮らしを目指す

 
私たち平均収入なんですから、平均的な暮らしができて当然ですわ。でも、本当はセレブ暮らしがしてみたいわ~

 
・・・

 

 

 

それでは、ここまで確認してきた平家の平均的な収入と平家が目指す平均的な暮らしにかかる費用を、補足情報とともに入力していきます。

まずは、平夫婦の情報入力です。上記で紹介した年収に退職金情報を加え、入力しました。住宅に関して自己資金欄がありますが、ここでは、自己資金は住宅購入にかかる諸費用に使ったものとして考えていきます。税金関係・引っ越し費用・その他各種費用を現金で支払い、住宅ローンは建物関連費用を組むこととします。

夫情報
妻情報


続いて、生活費情報です。必要経費には住宅購入に伴う固定資産税が加わっています。

生活費


そして、住宅費情報です。金利はフラット35を利用し、団体信用保険は金利上乗せ0.2%を選択しています。

住宅費


さらに、自動車購入費です。これは上で紹介した情報を入力しただけですので、補足事項はありません。

自動車費


最後に、平中太くんの教育費情報です。この入力フォームには保育園がないため、6年間の保育費を3年間保育代に換算して計上しています。

教育費


以上の情報をもとに、3人家族平家の未来予想図をシミュレーションします。果たして、平均的な暮らしを夢見た平家の運命はどうなっていくのでしょうか。

 

平家の未来予想図

結果


シミュレーション結果としては、このような悲惨な状況に陥ることとなりました。状況を見てみると、330万円もあった貯蓄は3年ほどで底を尽き、10年後の貯蓄残高はマイナス210万円と大赤字です。長男の中太くんが大学に進学すると、赤字は500万円以上に膨れていきます。退職金で一気に黒字化はするものの、この状況は明らかに破綻した家計状況といえます。

 
あなた、どういうこと!!もう化粧もできないじゃない!

 
・・・・・・

 

 

 

さて、以上が平家のシミュレーションになりますが、いかがだったでしょうか。なんとも残念な未来予想図となってしまったわけですが、最後に平家の暮らしシミュレーションを通じ見えてきた注意点を紹介してレポートを終えたいと思います。

【まとめ】

「平均値」に潜む危険な性質

このレポートのテーマである平均的な世帯収入で、平均的な暮らしができるかの答えは『NO』であるということがはっきり示されました。では、なぜ平家では平均的な暮らしが実現できなかったのでしょうか。そこには「平均」という数値の持つ特性が大きな鍵となります。ここでは、平均という数値の特性を紹介したいと思います。

平均値という数値を導き出すにあたり、次の2つのことが与える影響は非常に大きなものとなっています。

  1. 母集団の選び方
  2. 特異点の存在

まず、平均値を算出する基準となる母集団をどのように設定していくかは非常に大きなカギを握っています。実は、私が上で取り上げた平均的な金額にはこの点において公平性を欠いていることが分かります。

平家の平均年収が導かれている母集団は世帯を持つ家庭が母集団になっているのに対し、例えば自動車購入費の平均金額を導き出している母集団は「自動車を購入した人」になるわけです。ということは、自動車を買えない(買わない)人は母集団から外れていくことになります。つまり、違った母集団の平均値を取り上げて行くことは非常に問題があるわけです。

また、平均値が特異点の影響を強く受けることも理解しておく必要があります。特異点とは、平均値から逸脱して離れた数値のことを指します。この特異点の状況をざっくり判断するには「標準偏差」・「分散」・「相関係数」などという指標を用いることが一般的ですが、こうした指標は平均値に比べ、提示されるケースはあまりありません。上の調査結果においても、データの偏り・散らばり具合を知る指標を探し出すことは難しい状況です。

以上、2つの特徴を理解している方がこのレポートを読めば、どれだけ意味のないシミュレーションをやっているかが分かっていただけると思います。

しかし、このレポートで敢えて平均値という指標をもとに平家のシミュレーションを行ったその真意を最後に紹介されていただきたいと思います。

「平均」という指標の魅力

まず、なぜこれほど平均値という指標が浸透しているかを考えてみてください。そこには、単純な計算方法で導くことができるというメリットと母集団の特徴を表す代表値として分かりやすいというメリットが存在しているからです。上で紹介した相関係数の計算式は高校レベルの計算力が必要とされ、計算自体も非常に複雑です。そのため、平均値が広く普及しているわけですが、この平均という言葉を巧みに使った営業手法に私含め多くの方が騙されているという現実があるわけです。

例えば、住宅を買う際に、ご自身の年収に対し、いくらくらいが適正な住宅ローンなのかを調べるとします。すると、上で紹介したようなデータに行き着くわけです。その状態で展示場などに向かい、そこで応対した営業マンに

「○○さんの年収だと、これくらいの住宅が妥当です」
「契約された方のほとんどは、この設備を付けています」
「ほとんどのみなさんが採用されていますよ」

などと言われたらどうでしょうか。「自分にとって適正な住宅は、このレベルなんだ」と考える方がいても、なんら不思議ではありません。他にも平均値を営業に用いる手法は多く使われており、中部電力では同じ家族形態の使用電力平均と自分自身の使用電力値を比べるサービスが存在しています。このサービス含め、平均値を下回ることで安心感を得ている方は少なくはないはずです。こうした平均値を意図的に利用し、少し背伸びをした商品を購入させる手法は多く存在しています。ときは、その平均値というデータの根拠をまとめたものまで提示されることもあります。

「ならば、どうするか」という視点

 感覚的に本レポートの結果を予測していた方は多くいるかもしれません。しかし、果たしてその感覚を信じ、暮らしのなかで適切な判断ができている方がどれほどいるのでしょうか。残念ながら私は判断ができる人間では、ありませんでした。その結果をまとめたのが次のレポートです。

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【リアルでガチなレポート】年収600万円サラリーマンが住宅ローン3000万円借り、子ども3人を育てる暮らし

しかし、その先に待ち受けている未来予想図は決して平均的な暮らしではないのかもしれません。私がお伝えするレポートはどうしても不安を助長してしまう結果になってしまいますが、伝えたいことは別にあります。

「このままでは実現できない」と分かることで「実現するためにどうすれば良いか」を考えるきっかけになるはずです。収入を増やす努力をしたり、あきらめる努力をしたり、家計を節約したり、そうして得たものには平均以上の喜びや価値があるのかもしれません。