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男女別の年収を偏差値化したら見えてきた男女間の稼ぎの価値

男女別年収偏差値

『男女間の稼ぎ(年収)では、価値がどれほど違うのだろうか』

本日はこの問いに対する答えを、「偏差値」という指標を用いて答えていくことにしましょう。

とはいえ、お金の「価値」なんて話をされると、なんともゲスい話に聞こえてくるし、さらには「偏差値」なんてキーワードを出されてしまうと、なんとも嫌な感じがするのは、受験戦争のときに触れた偏差値至上主義への名残なのかもしれません。

そうは言っても、自分の年収や家族の世帯年収が他の人や家庭と比べてどれほどのポジションにあるのかは、やっぱり気になる話なのだと思います。

そして、夫婦共働きのダブルインカム世帯が増える今の日本において、夫の稼ぎと妻の稼ぎの価値を比べるなんてことは、口にはせずとも気になる話なのではないでしょうか。

そんなゲスいけど、ちょっと気になるお金の価値に関する話を、偏差値という指標を用いて比べてみることにします。

どうぞ気軽な気持ちで楽しんでいってください。

 

「世帯所得」を世代を超えて偏差値化した世界

まず、男女間の年収を比較する前に、ウォーミングアップとして「世帯所得」を偏差値化してみたいと思います。

世帯所得の分布状況は、厚生労働省統計一覧で毎年発表されている国民生活基礎調査を用いて把握することができます。

参考サイト国民生活基礎調査|厚生労働省

ここでは、2019年7月に発表された平成30年度の世帯年収(1年間を通じ勤務した世帯の所得)と20年前の1998年(平成10年度)における世帯年収をそれぞれ偏差値で表し、比較してみることにします。

【最新】平成30年度世帯所得の分布グラフ

2019年世帯年収の分布グラフ

こちらのグラフが2019年に発表された昨年度の世帯所得金額の状況です。

横軸が世帯年収、縦軸がその階級に所属する家庭の割合(相対度数)を表しています。

世帯年収の平均値は556万6千円、中央値は423万円と分かります。

【20年前】平成10年度世帯所得の分布グラフ

1999年世帯年収の分布グラフ

こちらのグラフが1999年に発表された平成10年度の世帯所得金額の状況です。

20年前の世帯年収の平均値は657万7千円、中央値は536万円となっており、現在よりも平均値が100万円も高い状況であることが分かります。

世帯所得を偏差値化する方法

世帯所得を偏差値で表していく過程を簡単に紹介します。

まず「偏差値」という指標を用いるためには、その性質上、グラフは正規分布であることが重要になります。

正規分布とは次のような形をしているグラフです。

正規分布の形

2019年・1999年いずれの世帯年収のグラフも正規分布のような左右対称のグラフになっていません。

平均年収よりも低い年収に多くの世帯が所属する左に偏った形になっているため、このままでは偏差値を算出してもその価値を比較することが困難となります。

そこで対数(Log)を取ることで、左に偏った分布を左右対称の正規分布で表す対数正規分布という技(方法)を利用します。

ここでその過程をちょっと紹介しておきます。

偏差値算出の計算過程

気持ち悪いほど数字が並んでいますが、やっていることは階級値の対数(Log)を取り、平均値・分散・標準偏差を算出し、偏差値へとつなげているだけです。

左に偏った世帯年収の分布をこの過程で正規分布にしているわけですが、本当に正規分布になっているかグラフで確認しておくことにします。

世帯年収の対数正規分布

このグラフを見ると、先ほど紹介した正規分布の形状になっていることが確認できます。

これで晴れて世帯年収を2019年および1999年それぞれの各年代で偏差値化することができます。

世帯所得の偏差値一覧

上述の計算過程を踏み、算出した世帯年収の偏差値を2019年と1999年ごとに並べてみます。

年収
偏差値(2019)
偏差値(1999)
100万円 33.8 31.4
200万円 41.9 39.6
300万円 46.7 44.4
400万円 50.0 47.8
500万円 52.6 50.4
600万円 54.8 52.6
700万円 56.6 54.4
800万円 58.1 56.0
900万円 59.5 57.4
1000万円 60.8 58.6
1100万円 61.9 59.7
1200万円 62.9 60.8
1300万円 63.8 61.7
1400万円 64.7 62.6
1500万円 65.5 63.4
1600万円 66.3 64.2
1700万円 67.0 64.9
1800万円 67.7 65.6
1900万円 68.3 66.2
2000万円 68.9 66.8
1億円 87.7 85.9

さて、あなたのご家庭の世帯年収は偏差値いくらだったでしょうか。

世帯所得の価値<2019年vs1999年>

こうして2019年現在と20年前の1999年で偏差値をそれぞれ算出したので、この20年間で世帯年収の価値がどう変化したのかを比較してみることにします。

ポイントとなる偏差値「50」・「60」・「65」の3つの年収区分にそれぞれ黄色・青色・ピンクと色を付けてあります。

これら3つのポイントの偏差値から2019年(現在)と1999年(20年前)の世帯年収の価値を比較すると、次のことが分かりました。

世帯年収の価値<今と昔>
 年収400万円(今)=年収500万円(1999)
年収900万円(今)=年収1100万円(1999)
年収1400万円(今)=年収1700万円(1999)


比較してみると、特に高偏差値における世帯年収価値は大きく変化があることが分かります。

現在の世帯年収1400万円は、20年前の年収1700万円と同じ価値があるという結果になり、現代では高収入を稼ぐ価値が大きく上昇していることが分かります。

このように年収を偏差値化してみると、年収分布をただ並べたり、平均年収や中央値年収を比較するだけでは見えてこない動向変化を読み解くことができるようです。

ということで、年収を偏差値化するという手法を用いて、タイトルにある本題「男女間における年収の価値」を比較してみたいと思います。

 

男女別に「年収」を偏差値化した世界

男女間の稼ぎの価値を比較するべく、男女それぞれの年収を偏差値化します。

男女それぞれの年収分布状況は、国税庁統計データで毎年発表されている民間給与実態統計調査を用いて把握することができます。

参考サイト民間給与実態統計調査|国税庁

ここでは、最新の統計データである2018年9月に発表された平成29年度分の年収(1年間を通じ勤務した個人の所得)を男女別に偏差値化し、比較します。

男性の年収・平均・分布グラフ

まず、平成29年度一年間に男性が稼いだ年収の分布を作成します。

2019年男性の年収分布・平均値

男性の年収平均値は424万6千円であり、分布グラフの形状は世帯年収の分布同様に左に偏り、右に裾野が広がっているグラフとなっています。

そのため、ここでも対数正規分布を利用し、偏差値を算出していくことにします。

2019年男性の年収分布

念のため、対数を取った男性年収分布グラフを載せましたが、問題なく正規分布に近付いていることが確認できました。

ということで、こちらを用いて男性の年収を階級別に偏差値で表し、女性と比較していくことにします。

女性の年収・平均・分布グラフ

続いて、女性の年収を偏差値化していきます。

男性の年収同様、まずは通常の分布グラフを作成しました。

平成29年度一年間に女性が稼いだ年収の分布が次のグラフです。

f:id:sekkachipapa:20190911173750p:plain

女性の年収平均値は210万1千円であり、分布グラフの形状は世帯年収の分布同様に左に偏り、右に裾野が広がっているグラフとなっています。

早速、お馴染みになった対数正規分布を利用し、女性年収の偏差値を算出していきます。

f:id:sekkachipapa:20190911175236p:plain

女性の年収分布も対数を利用することで、きれいな正規分布になりました。

これにて準備は完了です。

ようやく男女それぞれの年収を偏差値化し、比較していくことができます。

男女別年収の偏差値一覧

年収
偏差値(男性)
偏差値(女性)
100万円 28.4 40.6
200万円 38.8 49.4
300万円 44.8 54.5
400万円 49.1 58.1
500万円 52.4 60.9
600万円 55.2 63.2
700万円 57.4 65.2
800万円 59.4 66.8
900万円 61.2 68.3
1000万円 62.8 69.6
1100万円 64.2 70.8
1200万円 65.5 71.9
1300万円 66.7 73.0
1400万円 67.8 73.9
1500万円 68.8 74.8
1600万円 69.8 75.6
1700万円 70.7 76.3
1800万円 71.5 77.1
1900万円 72.3 77.7
2000万円 73.1 78.4
1億円 97.1 98.7

世帯所得の偏差値化と同様の過程で算出した代表的な年収金額と偏差値を男女別に並べてみました。

さてさて、あなたの年収は偏差値いくつだったでしょうか。

男女間における稼ぎの価値

男女別の偏差値一覧を比較するために、世帯所得の偏差値同様、ポイントとなる偏差値に色を付けておきました。

ポイントとなる偏差値は「50」・「60」・「70」です。

この3つの年収区分にそれぞれ黄色・青色・ピンクと色を付けてあります。

これら3つのポイントの偏差値から男性と女性の稼ぎの価値を比較すると、次のことが分かりました。

男女間年収の価値<H29年度>
年収400万円(男)=年収200万円(女)
年収800万円(男)=年収500万円(女)
年収1600万円(男)=年収1000万円(女)


男女間の稼ぎの価値を偏差値という視点で比較すると、今の日本という国では、いかに男女間の年収格差があるかが一目瞭然となりました。

 

年収を偏差値化したら見えてきたこと

年収を偏差値で表すことで、稼ぎの価値が何となく見えてきました。

ここでは今(2019年)と昔(1999年)の世帯所得と、男女間の年収を比較したわけですが、ただ分布を並べるだけでは分からないことがより具体的にイメージできたかと思います。

さて、ここまできて最後に「偏差値」という指標を利用する上での注意点がひとつあります。

偏差値という指標は、平均値が大きく影響しており、この平均値は母集団によって大きく変動するという性質を持っています。

そのため、偏差値を比べるときには本来母集団が一緒でないといけません。

ここで比較した今と昔の世帯所得と男女の年収は当然母集団が異なるため、「同じ偏差値=同じ価値」という言い方は正しくありません。

ただ、男女間の年収偏差値を比較することに全く意味がないのかというと、決してそんなことはありません。

この辺りの考えは説明すると長くなっていまいますので、また別記事にでも書いてみたいと思っています。

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