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「昭和の人生すごろく」が崩壊した今、何をすべきなのか

「老後資金2000万円問題」で幕を開けた令和という時代の数年前、平成の終わりにまとめられた経済産業省の若手が作成した資料「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」という政策提言をご存じでしょうか。

この資料は、経産省の次官・若手たちがプロジェクトチームを立ち上げ、「昭和」モデルから抜け出せないまま進み続ける日本国のあり方や政府の関与の仕方に対し、強い危機感のもと問題提起されたもので多くの議論を巻き起こしました。

参考不安な個人、立ちすくむ国家

とは言え、「老後資金2000万円問題」ほどのインパクトはなく、世間にはまだまだその存在を知られていない感のあるこの提言書ですが、それでも2018年度の九州大学における入試問題で取り扱われるなど、これから令和という時代をどう生き抜いていくべきか日本国民としての立ち位置を考える良い教材として、これからも扱われていくことは間違いありません。

そこで本記事では、この「不安な個人、立ちすくむ国家」から読み取れる、経産省の若手たちが訴えたかった問題意識を以下でまとめたうえで、今こそ求められている「昭和」から「令和」へのモデルチェンジ方法を探っていくことにします。

 

「不安な個人、立ちすくむ国家」が訴えたこと

不安な個人、立ちすくむ国家

資料内容は多岐に拡散しているように見えるが、本質的な内容としては「昭和」の時代におけるライフモデルと日本の現状との比較・考察する方向で展開されています。

昭和モデルからはじき出されることへの不安

昭和モデルからはじき出される不安

まず提言では、このスライドにあるように平成の終わりにあって昭和モデルに憧れを持つ日本人が持っている不安や不満を示し、その根本にある「昭和の人生すごろく」のイメージが紹介されています。

「昭和すごろく」 とは、1950年代の戦後に生まれ、高度経済成長時代、いわゆるバブル時代を駆け抜けてきた世代の標準的な人生プランを指示しています。

具体的には、男性は「就職活動」という言葉すら無かった超売り手市場の中、正社員として働き始め、終身雇用のもと1つの会社にその人生を捧げ、定年を迎えると多くの退職金をもらい退職し、その後は年金で第二の人生を楽しむ。

女性は、「結婚して、出産して、添い遂げる」人生の中で、家庭を守る役割を担うことで安心して夫に仕事に専念してもらう。

こうした道から外れることなくGOALにたどり着く「人生すごろく」こそが昭和モデルとして紹介されています。

昭和の人生すごろく

しかし、平成という時代はこの「人生すごろく」でGOALにたどり着けない人々が続々と現れる時代となりました。

高齢者世代 vs 現役・次世代 の社会政策

提言書では、こうした時代の変化に対応できない社会政策の状況をデータをもとに、高齢者世代と現役・次世代への対応格差という構図で紹介しています。

高齢世代vs現役世代

また、格差社会が進む日本において、高齢者への対応方法と母子家庭への対応方法についても所得の再分配方法に差があることを次のように訴えています。

現在の社会システムは、ある年齢で区切って一律に「高齢者=弱者」として扱い、個人に十分な選択の機会が与えられていない。

このように高齢者世代を一律で救済していこうとする政策に疑問を投げかけ、一方で

母子家庭の貧困、こどもの貧困を、どこかで「自己責任」と断じていないだろうか。

と、 母子家庭・こどもの貧困化への社会保障不足を分析しています。

母子家庭へのライフネット

このように、経産省の若手たちは「昭和」モデルからはずれた現役世代への支援が手薄であることを強く訴えています。

 若手官僚が目指す「日本の未来像」

GDPと幸福度

提言書では、GDPと幸福度の相関関係を取り上げ、昭和で通用していた「GDPの底上げ=日本人の幸福度」が崩壊している実情を伝えています。

そうした時代の変化に対し、これからの日本では新しい「成功モデル」を模索することはせず、個人の選択を支え、不安を軽減するための柔軟な制度設計こそが重要であり、そこに政府の役割であると締めくくっています。

 「令和」モデルとは何か

「不安な個人、立ちすくむ国家」を通じ、若手官僚たちが訴えたかったものは、「昭和」モデルのような一律のGOAL設定をまず日本国家が諦めることの重要性です。

そして、これから日本国を生きていく国民には、幸福の尺度をお金や家庭(子供)を持つ以外に見出していくことを願っているように感じました。

www.sekkachi.com

ちなみに、九州大学(共創学部平成30年度一般入試)では、「不安な個人、立ちすくむ国家」のスライド資料をもとに、次のような問いを受験生に小論文として書かせています。

ひとりひとりの構成員がより充実した生活を送ることができ、また持続的でもある社会を実現するために、あなた自身はどのような貢献ができるのだろうか。自分の知識や経験を踏まえながら、自由かつ論理的に議論を展開しなさい。

昨年度入試だけ見ても、広島大学や岡山大学など多くの大学入試で同じテーマに対する問いが出題されています。 

さて、あなたはどのような議論を展開されるでしょうか。 

 

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