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日本という国で、たった一人の子供を育てるために求められる条件

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世界の人口が急増する中にあって、日本という国ではその流れに逆行し、人口減少期に突入しています。

日本では世界に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでおり、直近の2016年では、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数「合計特殊出生率」は『1.44』まで落ち込んでいます。

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人口動態統計(厚生労働省)

では、なぜこれほど日本という国では「子供を産み、育てる」という一昔前ではさほど問題になっていなかった人類としての営みが、もはや簡単ではない状況になっているのでしょうか。

そこでここでは、子供1人を育てていくために夫婦に求められる年収をシミュレーションし、子供を育てていく親として何が求められているのかを探ってみたいと思います。

 

【目標】子供1人を育てるために必要な条件を導き出す

ここでは資金計画シミュレーション - 住宅金融支援機構を利用し、子供1人を育てていくために必要な年収を算出していきます。

扱っていく数値は、現行行われている子育て政策や最新の生活実態調査の結果をもとに入力し、日本という国のリアルな生活に迫る適正年収の算出を目指していきます。

【設定】日本で子供1人を育てる暮らし

まず必要年収を算出するにあたり、家族の設定を次のように行いました。

子供1人を育てる家族設定

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世帯主の設定としては

  • 30歳
  • 年収440万円
  • 年収上昇率1%
  • 退職金1500万円
  • 貯蓄250万円

という状況を想定していくことにします。

扱っている数字の根拠ですが、年収440万円は転職サービスDODAが2017年に正社員29万人を対象に調べた30歳時における平均年収を採用しました。

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出典:年齢別の平均年収2017|転職ならDODA

次の退職金1500万円は、厚生労働省「平成27年賃金事情等総合調査」における大卒・勤続35年以上の定年退職者の退職一時金制度における『平均値1567万円』を根拠としています。

最後の貯蓄額250万円については、平成28年度家計調査(貯蓄・負債)調査結果から算出される30歳時点の貯蓄額における中央値付近を設定しました。

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次に配偶者の設定ですが、ここでは月8万円のパートと設定しました。

この設定の根拠は、エン・ジャパン運営する「女の求人マート」上でサイトを利用している子どもを持つ女性639名を対象に行われたアンケート調査の結果です。

同調査によると、子供を持つ女性で仕事をしている女性の62%がパート・アルバイトという就業形態を選択していることが分かります。

そこで、ここでは配偶者の働き方をパート・アルバイトとし、月8万円の収入を得ているという状況を想定することにしました。

これにより、夫の年収440万円と妻の年収96万円を合わせた世帯年収536万円を想定していくことになります。

この他にも収入として、2017年現在支給されている児童手当の存在があります。

子供1人の場合、児童手当は次のように支給されます。

支給対象年齢 支給額(年間)
0から3歳未満 18万円
3歳から中学生 12万円

子供が生まれてから中学を卒業するまで支給され続ける児童手当は、15年間で総額198万円にも上りますので、ここではこの児童手当を一時的な収入として入力していきます。

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以上で、子供1人を育てる家族の設定(収入)が完成しました。

続いて、子供1人を育てていくうえで必要となる出費について入力していきます。 

家族3人の生活費

出費項目 金額
食費 72,934円
光熱費 15,998円
水道代 5,178円
家具・家事品 10,329円
被服費 10,878円
医療費 12,888円
通信費 13,120円
教養娯楽費 28,159円
理美容費 7,240円
こづかい 9,144円
交際費 20,903円
雑費 21,493円
合計 228,264円

この表は統計局ホームページ/家計調査(家計収支編) 調査結果より作成した2人以上の世帯における生活費の平均値(平成28年)です。

ただし、この生活費には、教育費・自動車関連費(購入・維持費)・住居費は含まれていません。

ここではこの調査結果を根拠に月22万8000円を生活費として計上することにします。

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また、子供が高校を卒業する世帯主48歳以降は、夫婦2人だけの生活を想定し、生活費も18万円に削減します。

以上が、子供1人を育てていく上で必要な生活費の入力となります。

家族3人の住居費 

次に住居費の入力です。

総務省が行った平成27年国勢調査によると、日本の持ち家率は62.3%となっています。持ち家か賃貸かは住んでいる場所により大きくことなり、最も高い富山県では78.1%、最も低い東京都では47.7%という状況です。

ここでは、シミュレーションサイトの都合上、マイホームを購入していくことを想定していきます。

マイホームの購入資金は、住宅金融支援機構によると

  • 新築建売住宅…年収の6.3倍
  • マンション…年収の6.5倍

という状況(2015年下半期)となっていることが分かります。

ここでは、想定している夫の年収440万円の6.5倍にあたる2860万円を住宅ローンで借り入れることを想定します。

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夫が定年を迎える60歳までにローンを完済するために、借入期間は「30年」とし、金利は30年固定1.5%に団体信用保険0.2%を上乗せした金利「1.7%」とします。 

子供の教育費

続いて子供の教育費の入力です。

ここで想定した夫婦は共働きを想定していますので、子供は0歳から5歳までの6年間私立のこども園に預けていく必要が生じます。

その後の進学先としては次のような状況を想定していきます。

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高校卒業後に就職するか、進学するにしても専門学校か大学かに進学するかは、可能性という面おいて子供が生まれた時点で予測することは大変難しいものがあります。

しかし、子を持つ親としては2017年時点で2人に1人以上の高卒者が大学に進学し、そのうちの70%以上が私立大学に進学している現状を踏まえると、子供の高校卒業後は私立大学進学を想定した教育資金準備をしていく必要があるのかもしれません。

子供の教育費については、子供の学習費調査(文部科学省)から保育園から高校までの学習費が確認できます。

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こうした調査結果をもとに、子供1人を育てて行くうえでの教育費を入力していくことにします。

保育園(0~5歳)

保育園で必要となる教育費ですが、上で紹介した幼稚園の学習費とほぼ同程度を計上していくことにします。

幼稚園の保育料やその他の教育費では、年間49万7000円が平均値となっています。

保育園に通う場合でも

  • 保育料:3万円×12か月=36万円

程度は最低限の保育料として必要となり、その他にも時間外保育料や習い事などを考えると年間49万7000円は妥当な金額と言えます。

今回使っているシミュレーションサイトでは、幼稚園(3年間)のみの入力しかできないため、ここで出てきた49万円という保育料を6年間分を3年間として入力していきます。

小学校(6~12歳)

公立小学校の6年間では、総額192万円程度の学習費が必要となります。これを平均すると年間32万円という金額になります。

小学校は言うまでもなく義務教育のため、学費(給食費含む)自体は年間10万円も掛からない程度ですが、サッカーや野球といったクラブに所属したり、習い事や塾に通うと月1万8000円程度は掛かってしまうのかもしれません。

中学校(12歳~15歳)

公立中学校の3年間では、総額144万円程度の学習費が必要となります。これを平均すると年間48万円という金額になります。

中学校では小学校同様、学費(給食費含む)は年間10万円程度と思われます。

ただ、中学校では部活動への参加はほぼ必須で、そのために必要なアイテムを購入したり、高校受験に向け塾に通ったりすることを考えると、月3万円程度は必要になるのかもしれません。

高等学校(15歳~18歳)

高校では現在、高校教育の無償化政策がとられており、就学支援金が支給されています。

「高校教育の無償化」というフレーズから高校時代は全くお金がかからないと誤解されている方がいますが、全くお金が掛からないということはありません。

国から支給される就学支援金は毎月9,900円程度ですが、これは高校の授業料に相当する金額です。

高校では授業料の他に、入学金、制服代、学年費、教材費、修学旅行費などが別途必要になります。入学時には入学金と制服代などで15万円程度は掛かり、授業料以外に月々1万5000円程度の積立が必要になります。

その他、高校では各種検定や模試を受け、通学のための交通費も必要になります。

さらに、部活動に加入したり、大学受験に向け、高校3年次には塾に通ったりすること考えると年間40万円程度は必要になるはずです。

大学(18~22歳)

私立大学では理系・文系など学部によっても、必要金額は異なります。

また、大学では一人暮らしをするのか、自宅から通うのかによっても必要な金額が異なります。

そうした状況により大きく左右される大学時の教育資金ですが、上のレポートで詳細に分析しています。

ここでは、上のレポートで算出した金額を根拠に、

  • 理系大学+実家暮らし
  • 文系大学+一人暮らし

で必要となる金額200万円/年間を計上することにします。

この200万円のそれぞれの学部における内訳は以下の通りです。

学部 学費(年間) 生活費(年間)
理系 175万円 25万円
文系 115万円 85万円

理系大学・文系大学とも、生活費はここで考えている金額ではとても足りませんので、その不足分は奨学金やアルバイトで補ってもらうしかありません。

以上の子供1人に掛かる教育費を入力します。

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自動車関連費

自動車の保有台数は自動車検査登録情報協会の調査によると、1世帯当たり「1.06台」となっています。

こちらも住居費同様、住んでいる地域により大きく数値は異なり、全国で最も多い福井県では1.75台、全国で最も少ない東京都で0.45台となっています。

車の買い替え期間は、内閣府「消費動向調査」によると乗用車の平均使用年収は平均9.0年(2016年、2人以上の世帯)となっています。

 

ここでは自動車の維持費計算サイトを使用し、プリウス(一番下のグレード)を9年間で乗り継ぐ想定で自動車関連費を算出しました。

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結果、自動車購入費・ガソリン代・車検代を合わせた自動車関連費は年間50万9000円という金額となることが分かりました。

よって、この金額を自動車関連費として計上します。

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【算出】シミュレーションの結果

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貯蓄残高の推移は、残念ながら家計破たんしてしまうという結果になってしまいました。

30歳時点で250万円あった貯蓄は、世帯年収540万円もの稼ぎがあったとしても子供が小学生に上がるころには底をついてしまっていることが分かります。

その後、子供が学生である間、赤字家計が続き、子供が大学を卒業すると一気に家計は改善されていきます。

ここで紹介したような暮らしを実現しながら、日本で子供1人を育て上げていくには世帯年収が540万円あったとしても厳しい現実があることが分かりました。

ただ、この貯蓄残高を見る限り、工夫次第で乗り越えられる可能性を感じます。

そこで、以下では赤字家計を乗り切るためにどのような対応を取ればよいのかについて検討してみることにします。

【工夫①】生活費を節約する

家計が赤字家計になることが分かれば、誰もが思うことは家計の節約ではないでしょうか。

ここで計上した

  • 生活費
  • 住居費
  • 教育費
  • 自動車費

の中で、節約のやり玉にあがるのはやはり生活費ではないでしょうか。

子供の教育費はやはり人並みには掛けて上げたいと考えるのが親でしょうし、住居費や自動車費の削減は状況によってはかなり難しいものがあります。

そこで、生活費を月1万円、年間で12万円節約することを想定し、シミュレーションを実行してみます。

その結果がこちらです。

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やはり、子供が大学を卒業するまでは苦しい貯蓄状況を強いられることには違いありませんが、それでも赤字破たんする状況は避けられそうです。

月1万円の節約となると、食費や光熱費を抑える・お小遣いの削減・スマホを格安SIMに変えるなどすれば、さほど生活レベルを落とさなくても節約可能な金額かもしれません。

【工夫②】年利5%で150万円運用する

30歳時点で貯蓄額は250万円を想定しているので、そのうちの150万円を投資に回していくことを想定してみます。

仮に、150万円を年利5%で複利運用することができれば、10年後には244万3342円になります。つまり、およそ100万円の収入を10年で生むことができるわけです。

この運用が可能になれば、生活費を月1万円節約するのと同程度の効果が見込めます。

ただし、投資には当然リスクも伴うため、注意が必要です。

【工夫③】生活費を節約し、投資をする

工夫①と②の生活費を節約しつつ、投資を実践した結果がこちらになります。

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収入を少し増やし、支出を少しだけ上げることができれば、かなり家計は改善されることが分かりました。

【考察】日本という国で、子供を育てるために必要なこと 

日本という国で、子供1人を育て上げるためには、30歳時点において

  • 世帯年収540万円
  • 貯蓄250万円

という収入・貯蓄状況に加え、ちょっとした節約術や投資術を身に着けていることが大きなポイントになることが分かりました。

ここで想定した世帯主の年収440万円という金額は、30歳時点での平均年収でした。

特に、投資術というとお金に余裕がある方が行うイメージがあるかと思いますが、日本において子供を育てていく上では、平均的な世帯こそ身に着けていく必要があるのかもしてません。

価値観が変わりつつある日本の現状

子供を持つことなく、同条件でシミュレーションを行った場合の結果が次のグラフになります。

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そして、子供を育てていく家計がこちらです。

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これだけの差が生まれることを考えると「子供を産み、育てていく」ということを躊躇し、思いとどまる夫婦がいても何ら不思議ではありません。

政府はこうした子育て支援にようやく動き出したかに思えますが、その実態はかなりお粗末な状況です。

0~2歳児の保育料や私立高校の教育費の無償化、大学時代に受けられる国の給付型奨学金など新しく始まる子育て支援のほとんどは、ここで想定したような平均年収世帯では受けることができません。

ここでのシミュレーション結果を見ても、今後日本で実行される子育て支援対策の中身を見ても、日本という国では、今後もますます少子化が加速していくように思います。

子供が生まれたならば、育児休暇を取得し、子供の育児時間を増やしつつ、節約術や投資術を学ぶ場所や時間を確保するなど、様々な視点から抜本的な改革が求めらることを望みつつも、やはり多くの家庭は様々なものをあきらめることで家計の健全化を目指していくしかありません。

さてさて、あなたは子供を育てるために何を身に着けますか。

 

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