読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

RepoLog│レポログ

子供3人と住宅ローンを抱える30代サラリーマンブロガー。本職は、研究開発。日々感じたことをレポートするブログです。

年収600万円で適正な住宅ローン借入れ金はいくらか、その答え合わせをしよう!

仕事レポート ローン返済術

年収600万円適正な住宅ローン

【動機】"フレーズ化"の危険性

大げさかも知れませんが、私は「この記事を書きたくて、住宅ローン診断士の資格を取得した」と言ってもいいかもしれません。それくらいの思いで書き上げたこのレポートが、これから住宅・マンションを購入される方の道しるべになって欲しいと考えています。

住宅ローン診断士

そもそもこの記事を書こうと思った動機ですが、私はいわゆる「年収の5倍が適正年収」というフレーズ(指標)を信じ、住宅ローンを組み、家を購入したわけですが、そこには想像以上に苦しい生活が待ちうけていました。

ハウスメーカー営業マンも、銀行員も、口をそろえて言った「年収の5倍が適正な住宅ローン借入額」であるという指標を信じ、自分自身でこれといったシミュレーションもしないまま、3200万円もの住宅ローンを借り入れました。「何とかなるだろう」と考えていた我が家でしたが、実際に住宅ローンの返済生活が始まると、何ともならない事態へ陥っていき、それまでの生活を一新していく必要性に迫られました。

一口に「年収の5倍」といっても、その家庭の状況は、年収だけでは測れない様々な要素によって変化していきます。
例えば、

  • シングルインカム or ダブルインカム
  • 子供の人数は1人 or 2人 or それ以上
  • 車は1台 or 2台

などです。
以下、『シングルインカム → Sインカム』『ダブルインカム → Wインカム』と表記していきます。

こうした家庭の状況は千差万別であるため、適正な住宅ローン借入額を一重にフレーズ化していくことにはそもそも無理がありますし、また、フレーズ化されてしまっていることでの危険性もあるわけです。

そこで、ここではできるだけ多くのパターンを想定した年収600万円世帯の適正住宅ローン借入金をシミュレーションしていくことで、「年収の5倍が適正な住宅ローン借入額」と言われる危険性を訴えていきたいと思います。

ちなみに、なぜ年収600万円世帯をターゲットにしたのかというと、わが家の世帯収入がまさにこの600万円であり、わが家のデータを使用することで、できる限り現実と密着したシミュレーションをしたいと考えたからです。

それでは、選択するライフプランにより、どれほど適正な借入額が変動するか、一緒に確認していきましょう。

 

【設定】当レポートにおける状況設定

「適正」である家計状態の定義

「適正」という言葉自体にそもそも曖昧性がありますので、ここではまずその言葉を明確に設定していきます。

✔ 貯蓄が一度もマイナスにならない
✔ 60歳時には住宅ローンを払い終える
✔ 65歳時に老後資金3000万円を貯蓄


以上の3点が、私の考える「適正」です。

あくまでも私が考える「適正」ですので、例えば「老後資金は1億円が適正だ」などのご意見があろうかと思いますが、そういったご要望がある場合は別途個別シミュレーションをしますので、お問い合わせください。

ということで、この3つの条件をクリアしていくことが、適正な家計状態であり、その状態をキープできる住宅ローン借入額を算出していくことをここでは目指していきます。

「支出」の状況設定

まずは、住宅費用以外の生活費・教育費・車購入費の三大支出について入力値を紹介していきます。基本的には以下のレポートで記載した日本の平均的な暮らしに必要な金額を入力していきます。

生活費(住居費・教育費・車購入費・保険費を除く)の金額は23万円とします。この生活費には、家電買替え費用や自宅の修繕積立て、家族旅行(実家帰省費)なども含まれるわけで、実際に年収600万円で生活している我が家の実態と決して離れた金額ではないと考え、採用しました。

教育費は、2つのパターンを想定していきます。

  1. (自宅型)幼稚園(保育園)と大学が私立(自宅)小・中・高校は公立。
  2. (下宿型)幼稚園(保育園)と大学が私立(下宿)小・中・高校は公立。

上の1.が、現在の日本で最も平均的な進学ルートです。一方、下の2.も、地方においてはよくあるケースです。ここで、用いる金額は、文部科学省が発表している平均値を用いています。(詳細は上のリンクを参照)

自動車購入費についても、2つのパターンを想定します。

  1. 車を1台所有(7年で乗り換え・プリウス3年落ち215万円)
  2. 車を2台所有(上記+7年で乗り換え・軽自動車100万円)

こちらも、全国的な平均値(詳細は上のリンクを参照)とわが家の実態を合わせた金額設定を行いました。

その他、細かな状況設定

最後に、その他の詳細設定も紹介しておきます。

✓ 年収上昇率は1%
✓ 35歳時貯蓄は300万円
✓ 退職金はSインカム1500万円/Wインカム1800万円
✓ 児童手当は2016年現在の支給額
✓ 金利はフラット35、35年固定1.4%
✓ 団体信用保険は金利上乗せ0.2%
✓ 繰り上げ返済は10年ごとに100万円
✓ 60歳時に退職金で住宅ローンを完済
✓ 60歳~65歳は再雇用期間とし、夫婦合わせた年収は300万円

 
以上の補足情報をご確認ください。個人的にはかなり現実的だと思っています。金利は15変動金利を採用される方が多いかもしれませんが、金利予測は非常に難しく振れ幅も大きいことから固定金利を採用させていただきます。

【方法】シミュレーション方法

使用したシミュレーションサイトは資金計画シミュレーション - 住宅金融支援機構です。 (色々な無料サイトを調査しましたが、こちらのシミュレーションが一番細かく情報を入力することが可能でした)

【検証1】3人家族のケース

3人家族

(1-1)Sインカム・子供1人(自宅型)・車1台

ここでは、次の家庭状況を想定します。

  • 夫(35歳)600万円
  • 妻(35歳)専業主婦
  • 子(3歳)

主となる収入は夫が稼ぐSインカムで、妻は子供が小学生になると同時に働きに出ることを想定します。妻の就業形態はパートで、年収100万円を稼ぐこととします。(この収入構造が現在日本で一番多い)

それでは、これまでの情報をもとにシミュレーションを行い、適正な家計状態をキープできた住宅ローン借入金額を発表します。

1-1

シミュレーション結果により、適正な家計状態がキープできていることが確認できます。赤い矢印の時点が65歳時点貯蓄残高であり、目標値3000万円を上回っています。
それでは、こちらのシミュレーション結果に至った住宅ローン借入れ金額を発表します。

住宅ローン借入れ金額…3000万円

まさに、年収の5倍ぴったりの借入金になりました。
つまり、フレーズ化している年収の5倍が適正借入金であるのは、この1-1で想定した家庭状況ということになります。

(1-2)Sインカム・子供1人(自宅型)・車2台

ここまで設定を行ってしまえば、あとは機械的にシミュレーションが行えます。さて、2つ目のパターンですが、(1-1)との違いは、車を2台所有するという点です。100万円の軽自動車を7年ごとに買い替えるわけですから、4回買い替える(総額400万円)としてシミュレーションを行いました。

1-2

それでは、適正な家計状態が達成できた住宅ローン借入金額を発表します。

住宅ローン借入れ金額…2700万円

となりました。
つまり、車を2台所有したいと考えるご家庭では、「年収の5倍」では老後が苦しくなってくる可能性があるわけです。

(1-3)Sインカム・子供1人(下宿型)・車2台

子供が大学進学をする際、下宿させることとします。こちらの教育費は、次の記事で設定した文部科学省調査による平均金額を用いています。

また、車は2台所有ということになります。
さて、このケースになると適正な住宅ローン借入金は、どれくらい変動するのでしょうか。

1-3

上の表のように、ギリギリ65歳時に老後資金3000万円を突破することができた住宅ローンの借入金額を発表します。

住宅ローン借入れ金額…2400万円

子供を私立大学に下宿させ、進学させていくことを想定していくならば、一気に住宅ローンの借入金を落としていく必要性がありそうです。

以上、3つのパターンで子供1人家庭のシミュレーションを終えようと思います。続いて、子供2人の4人家族におけるシミュレーションを行います。

【検証2】4人家族のケース

4人家族

(2-1)Sインカム・子供2人(2人とも自宅型)・車2台

どうでしょうか。私の感覚ですが、子供が2人となると車はどうしても2台必要だと感じてしまいます。(東京ではそうではないかもしれません)自分自身の感覚を信じ、ここでは、車2台にしぼり、子供の教育環境にスポットを当てていきたいと思います。

まず4人家族において想定したパターンは、子供が2人とも自宅から私立大学へ通うというものです。さて、子供が1人増えるとに適正な住宅ローン借入金は、どれくらい変動するのでしょうか。

2-1

子供が1人増えるとやはり相当厳しいシミュレーション結果となりました。子供2人を自力で私学大学まで進学させると考えているご家庭の適正な住宅ローン借入金は次の通りです。

住宅ローン借入れ金額…2050万円

2100万円では、適正条件を満たすことができなかったため、10万円単位でシミュレーションを行った結果、かなり細かな金額になってしまいました。

いやはや、一気に金額が少なくなってきてしまいました。年収の5倍までとされる指標は間違いなく子供1人を想定していることがよく分かります。

(2-2)Sインカム・子供2人(1人は自宅型・1人は下宿型)・車2台

(2-1)の結果をみると、かなり厳しいシミュレーションになりそうですが、果たして結果はどうなのでしょうか。

2-2

 こうしてシミュレーションをやっていると、子供をもつこと・子供を大学へ進学させることは非常に贅沢な行為出るかのような感覚になります。

自宅から通える私立大学が多様な選択肢を持っている地域はいいでしょうが、私が住む地域のように子供に高度な研究を実践させようと考えると、他県に送り出すしかないと考えているご家庭も少なくないはずです。子供2人のうち1人は、他県に送ると考えるご家庭の適正な住宅ローン借入金は次の通りです。

住宅ローン借入れ金…1700万円

2000万円以下の借入金となると、土地から家を購入することはほぼ不可能です。2-2のような家庭状況では、中古物件が適正であると言わざるを得ません。

最後に、夫婦が共働きをした上で、子供2人を大学へ下宿型で進学させるケースをシミュレーションしてみたいと思います。

(2-3)Wインカム・子供2人(2人とも自宅型)・車2台

Wインカムシミュレーションは、初めて登場しますので補足情報を記載します。

  • 夫(35歳)年収300万円
  • 妻(35歳)年収300万円
  • 子2人(3歳と1歳)幼稚園ではなく保育園へ通う
  • 退職金は900万円ずつ合計1800万円
  • 60歳から65歳は再雇用期間とし、合計年収400万円
  • 65歳より夫婦とも国民年金+厚生年金

2-3

先に結果を述べますと、

住宅ローン借入れ金…1700万円

という結果になりました。
意外なことに、Sインカム時に比べて厳しい結果となったわけですが、理由を考えてみれば、当然と納得できると思います。

まず当然保育料は幼稚園に比べ、高額になります。幼稚園であれば3年ですが、保育園だと6年になります。

また、Sインカムケースの場合、ここで想定しているケースでは妻はパートに出るわけですから、Wインカムとは世帯年収で大きな開きが出てきます。具体的には、パートで稼ぐ100万円が単純にシングルインカム世帯には加えられいることになります。(50歳時点の年収:Sインカム797万円に対し、Wインカム697万円)

【考察】結果から見えたこと

まずは、これまで行った6つのシミュレーション結果をまとめてみたいと思います。

適正借入金一覧

 この表にあるように、当然ながら置かれる環境ひとつで、適正な住宅ローン借入金額は大きく変動することになります。

年収600万円での適正な住宅ローン借入金は3000万円であるというフレーズが定着し、何となく住宅ローンは年収の5倍まで借りても大丈夫という風潮が広がっているように思います。

しかし、家を買えればそれで終わりということはなく、それ以外の生活が充実して初めて適正であるかどうかの判断が可能になります。

住宅を購入する際は、どうしても実現したい目標が「家を建てる」ということに終始してしまいがちですが、大切なことはその家に住み、その後の人生でどのようなライフプランを実現していきたいのかということにあるわけです。私自身もこのレポートを作成しながら、子供の教育や老後の生活などを考えたうえで、住宅ローンの借入金額を決めていくということがどれだけ大切か痛感することとなりました。

【まとめ】年収600万円の暮らし

ここで私が行ったシミュレーションは、あくまでも机上の空論でしかありません。実際の生活では、ここでシミュレーションし尽くせない様々な要素が絡み合って伸し掛かってきます。それは良い要素もあるでしょうし、時には残酷な結果をもたらすものもあるはずです。

ただ、このシミュレーションを通じて1つ言えることは、年収600万円では実現できることには限りがあるということです。

年収600万円のご家庭においては、

  • 子供を産む
  • 子供の教育を充実させる
  • 注文住宅を購入する
  • 車を2台所有する

などのライフプランの中で、どれかを諦めていく必要があるのかもしれません。それでも全ての要望を叶えていくには、節約を徹底し、所得を増やす術を身に着けていくしかありません。

さて、皆さんは何かを諦めますか。
それとも、実現できる術を模索しますか。