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家作りで中途解約をするときにトラブルのもととなる設計料の話

途中解約

 中途解約時にトラブルのもとになる設計料

 あまり考えたくない話ではありますが、家作りにおいてハウスメーカーや工務店と契約後に何らかの原因で契約を中途解約しなければならない事態は決して他人ごとではありません。

  家作りの中途解約時においてトラブルになりやすい項目が「設計料」であることをご存知でしょうか。まずは、2013年次に積水ハウスと取り交わされた見積書をご覧ください。

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  建物本体工事の詳細項目において、一番上赤枠で囲まれた部分に注目してください。ここに記載されている「設計費・コーディネイト費用」という項目こそ中途解約トラブルのもとになってしまうのです。なぜこの設計料がトラブルのもとになってしまうのでしょうか。その理由は次の通りです。

  1. 設計料は技術料であり、費用に換算する根拠がない
  2. 中途解約時に設計料が業者側の利益確保につながっている

 つまり、設計料(会社によっては工事監督料ということもある)は、他の費用のように、原価計算が非常に難しい費用になります。他の項目であれば、すでに発注・加工等していれば中途解約時にその費用を解約料として請求されることについては納得できます。また、万が一業者側がその原価に法外な利益を上乗せした金額を請求してきた場合であっても、専門家に判断を仰ぐことで必要以上の中途解約料を支払うことを防ぐことができます。
 しかし、この設計料は原価費用の根拠がグレーである費用であるため、業者側の利益を含めた形で解約料を請求されてしまうことがあるわけです。

 

時代の流れは、設計料の明示化へ

 訴訟大国と言われるアメリカにおいては、裁判へ発展しないためにも説明責任の重要性という考え方が重要視され、住宅関連企業に限らず企業側はできるだけグレーな表記は避ける対応が浸透しつつあります。
 こうした企業姿勢は、日本企業が海外進出する際にも当然求められるものであります。と同時に、近年では日本国内においても説明責任の重要性が増してきています。
 こうした時代の流れを受け、日本においても年内には「特定適格消費者団体」が総理大臣により任命され、日本国内において被害を受けた消費者(住宅に限らず)から裁判訴訟手続きを担っていくというシステム構築が進んでいるようです。ちなみに、住宅業界では「消費者機構日本」とおいう団体が、この認定を受けると有力視されています。そして、この「消費者機構日本」は、すでに大手ハウスメーカーを相手取り、家作りにおける中途解約時違約金の額が、平均的な損害の額を超えて消費者(依頼主)に請求されているとして、各社の契約約款の見直しを指摘しているのです。実際に、この機構により差し止め請求を行った事例を紹介します。

旭化成ホームズのケース

2014年9月旭化成ホームズが大手住宅会社としては、初めて途中解約時の解約条項への差し止め請求を受けています。この請求に対し、同社は対応をしていないと強く非難されています。

ミサワホームのケース

2015年1月ミサワホームも「消費者被害防止ネットワーク東海」により、途中解約関連条項の差し止め請求を受けています。ここでは、契約時における「工事請負代金」の5%を損害金として請求したミサワホームに対し、この金額は平均的な損害を超えているとして無効を求めていました。

積水ハウスのケース

 私が家を建てた積水ハウスも、2015年7月に消費者機構日本からの中途解約時における違約金を定めた契約約款の是正申し入れを受け、次のように契約約款を改訂しました。

甲(依頼者)の都合または甲の責に帰すべき理由により、この契約が解除されたときは、契約手付金は違約金として乙(積水ハウス)が収受し、乙はその返還を要しないものとします。
出典:「改定前」積水ハウス契約約款の一部より

 この部分が2015年8月以降から

この契約が解除されたときは、乙(積水ハウス)は甲(依頼者)に対し、解約時点までに履行された設計業務の割合に応じた設計業務報酬に加え、損害額を請求できるものとします。また、乙において甲のために支出した立替金があるときは、乙は甲に対し、その償還を請求できるものとします。
出典:「改定後」積水ハウス契約約款の一部より

 このように建築工事請負契約約款を改訂しています。

中小住宅会社やリフォーム会社にも申し入れされている

 例えば、住友不動産リフォームでも2013年から「消費者支援機構関西」との間で協議が続いている。ここでは瑕疵担保責任を定めた条項が、消費者の利益を一方的に害するとしてその削除を求めら、2016年7月に同条項を削除しています。

 このように企業側の説明責任が重要視され、消費者事態の質も変化する中、今住宅業界では「設計料の明示化」に向け、各社が大きく動き出そうとしているわけです。

そもそもなぜ設計料を明示しないのか

 私の見積書がそうであるように、これまでの家作りにおいては大手ハウスメーカーから地元工務店まで、特殊なデザイナーなどへの依頼を除き、設計料は明示しないことが慣例となっていたようです。実際、積水ハウスでは2015年8月までは「設計料はいただかない」というスタンス(説明)を取っていました。
 素人考えでは「中途解約時にトラブル・裁判になるくらいなら、初めから設計料を明示しておけばいいのに。」と思ってしまうですが、ここには各社頭の痛い問題があるようなのです。

設計料を明示すると、値切りのやり玉に挙がってしまう

 住宅会社側の視点に立てば、多くの会社は設計会社ではなく施工を含めた総工事費用を通じて利益の捻出を得ているわけです。結果、設計単独で利益を確保しようとは考えていないわけです。
 そして、設計料を計上してしまうことで顧客からは「施工工事をお願いしているのだから、設計料はサービスしてよ。」と値切りの対象になってしまうわけです。つまり、今までの住宅会社では、請負金額全体の中で設計に掛かった実費を確保していたことになります。

契約時には「設計料」について確認する時代へ

 特定適格消費者団体の認定も進む中、まだまだ設計料や設計契約に対する住宅会社の対応は様々です。2016年現在では、設計契約に関する各社の対応は、以下の4つとなっています。

  1. 設計契約を工事請負契約と切り離して前倒し、実行する
  2. 契約書や見積書に設計料を明示する
  3. 設計料とわからない形で諸経費などに含める
  4. 設計料は発生しないとする

 大手ハウスメーカーにおいても、どの対応を行っていくか千差万別の状況が見られます。例えば、ダイワハウス(大和ハウス工業)やへーベルハウス(旭化成ホームズ)では「設計料に関することは一切お答えしない」という強気な姿勢を示している会社もある一方、積水ハウス・セキスイハイム・住友林業・ミサワホームなどでは、契約書に設計料を明記する方向となっています。
 このように今まで以上にハウスメーカー側に説明責任が求められる時代にあって、どのハウスメーカーを選択したとしても、万が一の中途解約を想定し準備していく姿勢が依頼者側にも求められることになります。
 設計料の明示化が進むことは我々依頼者側の立場とすれば歓迎すべきことかもしれませんが、明示化をしている会社であっても、設計料の対象範囲となる業務範囲や設計料の算定基準については、依然として不透明な部分が存在しています。こうしたことを念頭に、中途解約時に発生する解約金についても説明を受け、納得した上で契約を結んでいきたいものです。

 これからの住宅業界では、食品業界の成分表示同様、事細かな発生料金の明示化が進んでいくことは間違いなさそうです。そうであるとするならば、私たちはそうした表示内容に目を向け、企業の家作りに対する姿勢を見極めていきたいものです。こうした時代の流れが、ただ厳しいだけではなく真に依頼者にとって良いものになるには、私のように既に家作りを終えた者の発信する情報がカギになっているのかもしれません。