RepoLog│レポログ

研究職サラリーマンが日々感じたことをレポートするブログです。

長谷川秀夫教授に聞いてみたい「若いうちは失敗していいから挑戦しろ」というフレーズの真意

電通社員自殺で思うこと

 若いうちは失敗していいから挑戦しろ

東大卒で電通に勤務していた女性新入社員が長時間労働の末、自殺した問題が波紋を呼んでいます。

 報道では超過勤務時間は月100時間程度とされていますが、彼女の残したTwitterからは月に200時間近い超過勤務が発生していたことや性的な見返りがあったことをうかがい知ることができます。

 この問題が広まる中で、武蔵野大学長谷川秀夫教授が

月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するとは情けない。

と綴ったTwetterが炎上し、その後謝罪するという騒動まで勃発しています。

 この長谷川教授の発したTwitter内容を読んで、ふと頭によぎったことがあります。それは今の会社に勤め、8年目を迎える私に対し「若いうちは失敗していいんだから、どんどん挑戦しろ」という言葉を投げかけ続ける副社長の姿でした。

 このフレーズ新入社員なら一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。私は、最近このフレーズを聞くたびに少々憂鬱になってしまいます。

 

上司が求める「若手のチャレンジ」とは何なのか

 このフレーズを聞き、「よし、それならどんどんチャレンジしよう」と志を高く持つ若手社員は多くいるのではないでしょうか。この言葉を40歳近くなって言われる私が若手社員かどうかはさておき、仕事のノウハウもなく、大きな権限を持つわけでもない新入社員が何かをチャレンジするには上司の力添えがなくては成立しない職種も多いのではないでしょうか。

 私の経験では「こんなことをやってみたい」「これは、もっとこうしたほうがいい」と息巻き、チャレンジした若手に対し、意外と冷めた反応が返ってくることが多々あります。「よし、じゃあやってみろ!(自分一人でな)」と含みをもった回答が返ってきたり、「うちの会社の社風には合わない。」「まだ現場のことが見えていない」とチャレンジすらできなかったりすることは往々にしてよくあります。私の会社が特にそういった風潮が強いのか、一般的なのかは分かりませんが、そもそも上司が求めるチャレンジとはどのような行動を指し、どんな結果を期待しているのかが分からないのです。

 私が8年間に渡り上司からこのフレーズを投げかけられる中で至った結論は、上司が求めるチャレンジとは「失敗する可能性が低く、失敗しても大きな損害が自分(会社)に被らない範囲で、少しばかりの独自性をしてみたら」という解釈に今は行きついています。

「失敗していい」と本気で思っていますか

 こと研究職においても、日本はチャレンジが難しい国ではないでしょうか。研究を行い、何かを解明するというチャレンジをするためには膨大な時間とお金が必要になります。しかし、日本ではチャレンジへのバックアップ体制が、諸外国と比べ、費用にしても時間にしても失敗しても大きな損害が生じない範囲にとどまっています。こと時間においては、できるだけ早く結果を求めるという風潮が強い国ではないでしょうか。まさに、上司が求めるチャレンジと一致するものを感じてしまいます。

 私の職場に目を向けてみても、同じような風潮があり、若手社員にも早く成長し、結果を出してほしいとという教育が行われていきます。そのため、チャレンジするというよりは、まずは与えられた仕事をこなすという側面が強くなっていきます。

 現在私の部署では月の超過勤務時間は100時間を超えている状態が常態化しています。3年前に入社した違う部署の若手社員は、残業時間が月150時間を超えていますが、超過勤務手当(残業代)はほぼ0です。

 私が先日この状態の異常性を副社長に直訴したところ

  • 要領が悪い
  • 我々はやってきた
  • 私も手当は付いていない
  • 大変なのはうちだけではなく、他の会社も同様

という答えが返ってきて、愕然としました。この言葉はまさに長谷川秀夫教授のコメントと本質的には同じものを感じてしまいます。

 与えられたことをこなすことで精一杯の若手に対し、「失敗していいから挑戦しろ」というフレーズは何を意図した発言なのでしょうか。

会議や飲み会の場で、繰り返し投げかけられるこのフレーズに少々嫌気が指してしまっています。果たして、若手がチャレンジする業務的な余裕と、失敗を許容するだけの度量を持ち合わせた上司や会社がどれだけ今の日本にあるのでしょうか。

 一度レールから外れてしまった人が、再度挑戦していくセカンドチャレンジがこと難しいと感じる日本社会において、例え「失敗していい」と言われても目の前の業務に忙殺され、チャレンジする気力さえ沸かないクリエイティブな若手社員がどれほどいるのでしょうか。

 この度亡くなった高橋さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。