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RepoLog│レポログ

研究職サラリーマンが日々感じたことをレポートするブログです。

裁判敗訴が続く積水ハウスの地盤工事から家族を守る「鉄壁の地盤調査」4選

Judge hammer

相次ぐ「積水ハウス敗訴」の文字

2016年の夏以降で、「積水ハウスが裁判で敗訴」という内容の記事を目にするのは2度目になります。

一度目の敗訴は、

土地の陥没で住宅が傾き住めなくなったのは開発許可に問題があったためとして、住宅を建設した積水ハウス(大阪市)が津市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は28日、市に約3100万円の支払いを命じた1審津地裁判決を取り消し、積水ハウス側の請求を棄却した。
引用:毎日新聞2016年7月29日中部朝刊紙

といった内容です。

そして、2度目となる今回の裁判は、次のような内容となっています。

東日本大震災で自宅が不同沈下した千葉県成田市に住む建て主が、家を設計・施工した積水ハウスに損害賠償を求めていた裁判の判決が2016年9月29日に下った。
東京地方裁判所は、建築前に地盤改良せずに施工したことは、契約の債務不履行と不法行為に当たるとして、積水ハウスに約1460万円の支払いを命じた。
引用:日経ホームビルダー11月号

いずれも住宅を建てた「地盤」に絡んだ裁判となっていることから、同じ積水ハウスで家を建てた者としては、積水ハウスの地盤調査及び地盤改良工事に不安を覚えてしまいます。

果たして、積水ハウスの地盤調査・改良工事は信頼できるのでしょうか。今回は、この2つの裁判から見えてくる地盤調査の難しさと施工主ができる対策にスポットを当てていこうと思います。

 

積水ハウスvs津市の宅地陥没裁判

裁判の対象となった宅地は、三重県津市半田地区にある住宅で、裁判になった経緯は以下のとおりです。

 宅地陥没の経緯 津市ある地元開発事業者が、同市の開発許可を得て盛り土で造成した土地を住民に売却。そして、その土地に積水ハウスが住民から注文を受けて2階建ての戸建て住宅を建設。しかし、完成後、宅地に亀裂が発生して一部が陥没し、住宅が傾いた。その結果、住めなくなったとして住民は引っ越しすることになる。


その後、住民が賠償を求め、裁判に発展していくわけです。

宅地陥没で直接的な損害を受けた住民は、一旦積水ハウスに対し賠償を求めていくのですが、同社とは和解し、土地の開発許可を出した津市に対し賠償を請求していきます。

その過程で、住民は損害賠償の請求権を同社に譲渡し、「積水ハウス」vs「津市」の構図が出来上がっていきます。

そして、積水ハウスは2009年、宅地開発を許可した津市は都市計画法に基づく注意義務を怠ったとして、津市に約3100万円の賠償を求める訴訟を津地裁に提起します。

2014年の一審判決では、宅地の陥没は付近の空洞の崩壊が原因だとして、市は予見できたはずだと認定。請求された全額を積水ハウスに支払うよう市に命じます。

しかし、二審判決では、当該陥没住宅の原因を現場から約30m離れた市道の陥没の影響とし、裁判官は、この市道陥没は予見できない事故と判断し、市の賠償責任を否定しました。

結果、積水ハウス敗訴という判決を下されたわけです。

実はとても珍しい!地盤改良工事に関する裁判で個人建て主に敗訴

上で簡単に紹介した東日本大震災がらみの裁判ですが、実はこのように個人建て主が裁判で大手ハウスメーカーに勝訴することは非常に珍しいケースなのです。

 実際、今までの裁判事例を見てみても、施工主(建て主)側に優位な判決が下った裁判は、ほとんどありません。

それは、その家が建っていた地盤が例え脆弱であり、かつ地盤改良が十分に行われていないケースであったとしても、大地震などの後にそれを立証することはほとんど不可能に近いです。

また、むしろ地盤調査結果を元に過剰な改良工事を行っている現状の方が多く、その割合は実に60%以上にも上るそうです。

それでは、なぜ今回の裁判で建て主側は勝訴することができたのでしょうか。その事に着目することで、建て主側が家族の財産を守る手段が見えてきました。

鉄壁の地盤調査術・4選

家を建てる上で、家を支える地盤がどういった状態にあるのかは非常に重要であることは言うまでもありません。

しかし、地盤に関する知識がほぼ皆無な我々施工主は、どういった事をすべきなのでしょうか。 

ハウスメーカーが行う地盤調査に立ち会う方は、多くいたとしても、出てきたデータの見方や行われる地盤改良工事の妥当性を判断することはほぼ不可能です。

だからといって、地盤不良により裁判がある現状を見る限り、できることを模索していくことは必須条件なのだと思います。

そのうえで、千葉県成田市の建て主が今回積水ハウスに勝訴した要因を分析することは非常に意味があることだと確信しています。

地盤調査は複数業者で行うべし

今回の裁判で積水ハウスに勝訴した千葉県成田市の建て主は、積水ハウスの他にも住友林業で地盤調査を実施していました。

 住友林業の地盤調査結果 地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)の結果で、5ポイント中2ポイントにおいて、自沈層が見つかり、地盤改良が必要と見積書を提案。

 
一方で、積水ハウスが行った地盤調査では、住友林業とは違う結果が建て主に報告されています。

 積水ハウスの地盤調査結果 地盤調査(同試験)の結果では、4ポイント中1ポイントにおいて、自沈層が見つかったが、地盤改良は必要なしとし、布基礎による見積書を提案。

 
結果、建て主は積水ハウスを選び、2002年に住宅が完成するも、その1年半後2回の寝室でクロスのひび割れが発生し、その後も亀裂やひび割れが多発し続けます。さらに、2011年3月の東日本大震災で不同沈下する被害に見舞われてしまうのです。

裁判判決では、建て主が住友林業が行った地盤調査結果を積水ハウスに提示した際に真摯に検討すべきであったとし、建築基準法施工例38条の1項に抵触していると判断しています。

つまり、建て主が積水ハウスに勝訴した要因は、住友林業でも地盤調査を行っていたことが大きな要因ということが判断できます。

わが家も、積水ハウスで家を建てる際、積水ハウスとは別に一条工務店で地盤調査をお願いしましたが、こうした複数業者による地盤調査は、万が一の際にも、建て主を守る結果につながることが分かりました。

また、地盤補強工事において布基礎とはどのような工事なのかについて、次の記事が写真付きで非常に分かりやすく解説されています。布基礎か、ベタ基礎か、どう違うのかぜひ参考にしてみましょう。

簡単にできる地盤情報を収集すべし

住宅を建てる際に、複数業者で地盤調査を行うことは必須としても、既に家を建ててしまった方はどうすればいいのでしょうか。

すでに家を建て終えた方で、地盤状態が心配な方はまずは、地盤安心マップを利用してみることをお勧めします。いきなりお金がかかる地盤調査会社への依頼は、どうしても敷居が高くなってしまいます。そこで、まずこのマップでご自身の建設予定地付近の地盤情報を調べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

こちらのサイト内で、建設予定の住所または現住所を入力することで、その地域上空からの航空写真に切り替わります。それと同時に地震カルテに申し込むタグをクリックし、必要情報を入力すれば完成です。

地震カルテに申し込まなくても、さまざまな地形情報を得ることができます。液状化情報や土砂災害情報などは一見の価値ありだと思います。

一番安心できるのは、第3者調査

何といっても一番安心なのは、中立性の高い第3者による地盤調査です。

私がお勧めするのは、地盤ネットホールディングス株式会社が展開する地盤カルテ®というサービスです。

なぜこちらがお勧めなのかというと、普通地盤調査を行う会社は、改良工事を手がけていることが一般的なのにたいし、こちらの会社は、地盤調査後の地盤改良工事を手掛けていないことが中立性を高めているからです。

この会社が発行する「地盤品質証明書」というサービスを利用すると、地盤証明書を8万円で発行してくれるのですが、20年間に渡り、地盤が原因となる損害が発生した場合に、最大5000万円の補償を提供してくれるのです。

こうしたサービスを有効的に活用することは、家づくりにおいて大切な家族・家を守る上で非常に大切なことです。

進化する地盤調査技術

他にも、KOMATSU [SMART CONSTRUCTION]は、建設現場の生産性向上を支援するソリューション事業「スマートコンストラクション」の一環として、応用地質と協力し、地盤リスクを診断するサービス「JudGe5」を開始しました。

地盤情報データベースと詳細な地形情報を基に、当該地の地盤モデルを提示し、工事への影響が懸念されるリスクの種類とその影響度を判定。
地盤に関する不確定要素を事前に削減することで、突発的な対応に伴う工数やコストの増加を防ぐ。
引用:KOMATSU HPより

KOMASTUでは、レポートサービスとして国内初となる三次元地盤モデルの提供も行ってくれ、より具体的・直感的な地盤リスクの把握が可能になるそうです。

相次ぐ地盤問題へ立ち向かおう 

横浜の傾斜マンションで地盤工事への大きな問題提起がなされた建築現場ですが、積水ハウスをはじめ、大和住宅や一条工務店といったほぼ全てのハウスメーカーは地盤絡みの裁判を経験、もしくは現在も抱えています。

繰り返しになりますが、こうした大手ハウスメーカーを相手取り裁判に勝つという事は至難の業という現状があります。私たち施工主は、万が一の際には非常に弱い立場であるということを知っておく必要があります。

そして、今回のような裁判事例から学び、できることをやっておくことこそ夢のマイホームはじめ、家族の笑顔を守ることに繋がります。

最後に、私が昔立ち上げた地盤調査トラコミュを紹介します。様々なハウスメーカー施工主の皆さんの情報が、集まりつつあります。情報こそ一番の防衛策です。施工主の皆さん、これから家を建てられる方のためにも、是非ご参加ください。