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日本という国で、奨学金を借りてでも大学に行く価値はあるのか

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前回書いたレポート「日本という国で奨学金を借りたら結婚できないことを証明する」は、大変多くの方に読んでいただき、様々なご意見をいただきました。

こうしたマイナスな内容を提示するにあたって、かなり安易なシミュレーションを行っていたことは間違いありません。また、だったら問題を解決するためにどうするべきなのかという提案や視点もセットで書くべきだったなと後悔し、一度記事を取り下げさせていただきました。

そこで、今回改めてもう一度「奨学金問題」について考え、その問題の本質と解決策について提案させていただきたく、この記事を書いてみました。

 

奨学金と未婚率を切り離して考えてみる

まず前回のレポートで問題だったことのひとつに

  • 奨学金を借りる割合と金額の上昇
  • 未婚率の上昇

に因果関係があると記載したことです。

そこで、ここでは一旦、奨学金と未婚率を切り離したうえで、奨学金の抱える問題点を指摘したいと思います。

日本の奨学金に関する実態

最新の平成26年度学生生活調査 - JASSOによると、全学生のうち奨学金を受給している学生の割合は

  • 52.3%

となっています。

これは大学昼間部に通っている学生が調査対象であるため、夜間部や大学院に通っている学生を含めれば、奨学金を借りている学生はさらに多くなっていきます。

奨学金を借りる学生の多くは、日本学生支援機構の奨学金を利用しています。

日本学生支援機構では、有利子と無利子の奨学金が存在しますが、有利子奨学金は家庭の収入や高校時代に優秀な成績を収めている必要があるため、65%程度の学生は有利子の奨学金を借りて大学生活を送ることになります。

また、同機構によると1人当りの平均貸与総額は

  • 343万円

であることを公表しています。

こうした状況をもとに、返済シミュレーションを奨学金貸与・返還シミュレーション-JASSOにて行うと、おおよその返済目安として、月15,000円程度の返済が必要になることが分かります。

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同機構のHPを見てみても、ほぼ同等のシミュレーション結果が掲載されています。

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金利に付いては、これから奨学金を借りる学生にとっては低金利(0.27%程度)の状況になっているる一方、5年以上前に奨学金を借りていた学生にとってはかなり厳しい金利(1.6%程度)状態になっています。

いずれにしても、一人につき15,000円/月以上の返済が20年近くに及んで発生するのが、現在の奨学金の実態といえそうです。

大学卒業者の給与

前回のシミュレーションでは、大卒者給料の設定に関するご指摘を多くいただきました。

そこで、今回は厚生労働省が発表した平成27年賃金構造基本統計調査を使って、できるだけ詳細な分析を心掛けていきます。

この調査報告によると、学歴ごとの企業規模別賃金を知ることができます。

大学・院卒で大企業に勤めた場合
年齢 男性 女性
30~34 338.6 284.6
35~39 410.6 321.9
40~44 479.9 374.6
45~49 554.5 409.7
50~54 600.7 433.9
55~59 581.9 392.7

※大企業の定義は常用労働者1,000人以上の企業

大学・院卒で中企業に勤めた場合
年齢 男性 女性
30~34 298.8 267.4
35~39 352.7 291.6
40~44 409.7 350.5
45~49 475.0 371.6
50~54 513.9 410.6
55~59 507.4 397.4

 ※中企業の定義は常用労働者100~999人の企業

これを見る限り、55歳以上の女性は大企業より中企業の方が稼いでいることが分かります。

大学・院卒で小企業に勤めた場合
年齢 男性 女性
30~34 278.5 245.1
35~39 322.3 271.0
40~44 362.0 303.9
45~49 389.0 331.4
50~54 417.1 307.6
55~59 414.4 324.7

※小企業の定義は常用労働者10~99人の企業

高校卒業者の給与

ここでは奨学金を借りて大学を卒業し、働いた方と比較するため、高校卒業者の給与も見ておくことにします。

年齢 男性 女性
30~34 259.9 235.0
35~39 295.0 250.0
40~44 336.6 269.3
45~49 375.3 281.2
50~54 408.9 286.8
55~59 396.0 284.6

※企業規模に寄らず全高卒者の給与

 

【検証】奨学金を借りて、大学に行った暮らし

ここでは、夫婦とも奨学金を平均貸与額程度借りた状態で、大学に進学した暮らしついて、大学卒業後就いた企業規模別でライフプランシミュレーション | スルガ銀行を使ってシミュレーションしていくことにします。

前提として、前回のシミュレーション同様、夫婦が30歳の時点で子供を一人授かり、育てていく暮らしを想定します。

子供の教育費については、以下の通りに入力します。

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※金額はシミュレーションサイトが提示した金額をそのまま使用

住居費および生活費も前回のレポート同様の金額を使用します。

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そして、今回のテーマである奨学金を夫婦月3万円を42歳まで返済していくことを考えていきます。

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大卒・小企業に勤めた場合の未来予想図

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上の金額が、夫婦ともに小企業に勤めた場合の世帯収入の合計金額になります。

これをもとに、家計シミュレーションを行った結果が次のグラフになります。

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この棒グラフが、夫婦ともに大卒・奨学金あり・小企業に勤めた場合の「貯蓄」未来予想図です。

これを見る限り、収入の少ない30代では、子供を保育園に預ける養育費に加え、圧し掛かってくる奨学金返済は、家計に大きなダメージを与えています。

今回はこうした場合の解決策についても、示していければと思っていますが、ひとまず他のケースについてもシミュレーションを行ってみます。

大卒・中企業に勤めた場合の未来予想図

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上の金額が、夫婦ともに中企業に勤めた場合の世帯収入の合計金額になります。

これをもとに、家計シミュレーションを行った結果が次のグラフになります。

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やはり、奨学金返済のある42歳までの期間は苦しい家計状態にありますが、返済が終わってからは、グングンと貯蓄金額が伸びはじめ、60歳時点では3000万円もの貯蓄が可能であるという結果になりました。

大卒・大企業に勤めた場合の未来予想図

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上の金額が、夫婦ともに大企業に勤めた場合の世帯収入の合計金額になります。

これをもとに、家計シミュレーションを行った結果が次のグラフになります。

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夫婦ともに大企業に勤めた場合は、奨学金を返しながらも、年収上昇とともに、貯蓄がしっかりできる暮らしとなっています。

高卒者における未来予想図

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上の金額が、夫婦ともに高卒の場合の世帯収入の合計金額になります。

これをもとに、家計シミュレーションを行った結果が次のグラフになります。

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シミュレーションを行うにあたり、もちろん奨学金の返済はカットしてあります。

住居費および生活費は大卒者と同様の条件にしてあるのですが、言えることは大学卒業後小企業に勤めた夫婦よりも赤字幅はかなり少ないことが見て取れます。

比較のため、もう一度大学卒・奨学金あり・小企業のシミュレーションを載せておきます。

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【考察】奨学金を借りて大学に行く意味 

 まず、今回のシミュレーション結果だけをもとに言えることは、

  • 奨学金返済がある大卒・小企業勤めでは、厳しい家計状態になる

ということです。

どの程度厳しい状態なのかというと、大学に行かず高卒で働いた場合以上に苦しい生活が予想されました。

今回のレポートでは未婚率と切り離し奨学金に潜む問題を見つめてみました。

ひとつの結論として言えることは、奨学金を借りて大学に行くならば、中企業に勤める程度の年収が得られる就職先を目指すことが大学に行く意味になるのかもしれません。

こう書くと、

大学に行く意味はお金のためだけじゃね~ぞ!

という意見があると思いますが、その意見には個人的にとても共感します。

大学は将来の収入を増やすために行く場所ではなく、自分の興味を深める場所だと思っています。

ですが、こうした現実があることも一方で事実だとも思っています。

少子化が進むこの15年で私立大学は130校も新設されています。そこには我々の税金が補助金という形で使われています。

大学に行く学生の割合も年々増加する中、奨学金を借りて大学に通う学生も異常なまでに増加しています。

不甲斐ないレポートを書いたことで、議論がズレてしまいましたが、個人的に訴えたかったことは奨学金を借りることでその後の人生にどれだけ影響を与えるかということ考え、真の学びを求め、本当に自身に大学進学が必要なのかを考えてほしいというものです。

とはいえ、これはあくまで個人的な意見ですので、奨学金を借りて大学に行く必要性についてはぜひともご自身で考えてほしいと思います。

では、最後に「奨学金を借りて苦しい家計に陥った場合の解決策」について提示し、本レポートを終えたいと思います。

奨学金を借りた暮らしを改善する方法

まず今回のシミュレーション結果を見てみると、どのシミュレーションでも45歳程度までの家計が苦しいということは共通していえることが分かりました。

その原因は

  • 日本の年功序列賃金構造
  • 保育費・教育費の負担が大きい

ということが原因と考えられます。

つまり、この時期に生活費や住居費を節約した生活を送るということは大変効果的な対策です。

生活費や住居費の節約がどれほど効果的かは、こちらのレポートで訴えています。

今回のケースでも、

  • 住居費を8万円→6.5万円
  • 生活費を20万円→18万円

とそれぞれ節約すると、貯蓄シミュレーションは一気に回復します。

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奨学金を返済し終える40歳過ぎには、子供も小学校高学年になるため、広い家が必要になったり、食費等で生活費は増えてきます。

つまり、子供が小さいうちにできる限り節約に励んだ生活を送ることは非常に効果的な対策と言えます。

また、各自治体では昨今の少子高齢化を受け、若者・子育て支援を充実してきています。

例えば、岡山県岡山市では「民間賃貸住宅を活用した「お試し住宅」のご案内|岡山市」という取り組みを行っており、家賃補助を行っています。

岡山に限らず、地方都市では若者夫婦に住んでもらおうとあの手この手の支援を行っているため、こうした地域で住居費を抑えるということもひとつの手かもしれません。

もちろん、投資や副業をするといった収入を増やすという選択肢もありますが、これにはリスクや不確定要素も多いため、ここでは割愛させていただきます。

そして、結婚する前の比較的生活費のかからない独身時代に奨学金を減らす努力や、貯蓄を増やす努力をすることも大変効果的な対策と言えます。

仮に、30歳時点で500万円の貯蓄ができていたならば、奨学金ありの小企業夫婦でも十分子供を育て上げることができる結果となりました。

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ただひとつ言えることは、こうした家計節約や若いうちの貯蓄は言うは易く行うは難しです。 

できることなら奨学金を借りて進学することが決まった時点から、節約した学生生活を送っていくことで、その後待ち受けている結婚・出産・子育て期を乗り切る術を学ぶことができるはずです。

最後に

あらためて前回レポートで、不快な思いをされた方々本当にすみませんでした。

こうして、別目線で記事も書いたので、前回レポートも改めてUPしておきます。

そのうえで、当ブログでこうしたお金レポートを書く意義を示しておければと思います。

こうしたレポートを書くと「○○はお金じゃない」という意見をいただくことが多くあります。

  • 結婚はお金のためにするもんじゃない。
  • 大学はお金のために行くもんじゃない。

繰り返しになりましが、この意見について私は激しく同意します。

そんな極論を伝えたいわけではなく、当レポートがひとつのたたき台となり「じゃあ、どうしよっか」と読んでくれた方が考えてくれるきっかけになることを願い、記事を書いています。

その思いだけちょっとばかり汲んでいただけたら嬉しいです。

今後も当ブログでは炎上にめげることなく年収やお金の問題を発信していきたいと思っていますので、良かったら読者登録・Twitterフォローしてください。


 

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