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【日本の闇】世帯年収中央値レベルでも家計破綻!未婚率と奨学金の関係

厚生労働省が発表した生涯未婚率が注目されています。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所により、50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す「生涯未婚率」が 発表されました。

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男性は4人に1人に近い割合で、未婚のまま50歳を迎えていることが分かります。

なぜ未婚率が上昇しているかについて、婚活支援サイトを運営するパートナーエージェント(http://www.p-a.jp/)の調査を見ると、次のような要因が確認できます。

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出典:「経済的な事情から」婚活をあきらめていた

ここで注目される要因こそ「経済的な理由」ではないでしょうか。

結婚し、子どもを出産するとお金が掛かることから、結婚しない選択をする時代になっているというのが今の日本の現状ではないでしょうか。

当ブログでもこの点については、以下の記事でシミュレーションを行っていますが、日本において結婚し、子どもを育てていくことは経済的に決して簡単ではないことがよく分かります。

一方で、こうした「結婚がしたくてもできない理由が経済的な事情」であることが話題になるたびに必ずと言っていいほど主張される考えがあります。

 

夫婦共働きなら、経済負担を乗り越えられる

「結婚し、夫婦で共働きすれば結婚が実現できる」という考え方です。

例えば、一人の稼ぎが250万円だったとして、夫婦二人合わせれば500万円になり、そうすることで経済的な負担も和らぐことになる。

このような意見が多く見られます。

確かに、もっともな考え方です。結婚し、稼ぎが夫婦で多角化することで生活レベルも向上できるように思います。

しかし、この考え方は現在の日本における"ある闇の部分"を見落としている考え方であることにあなたは気付いているでしょうか。

その闇を見落としたまま、安易に結婚すれば収入が2倍になると信じ、結婚へと突き進んでいくと、その先にある大きな落とし穴に"はまってしまう"ことにもなりかねませんので注意してください。 

さて、ここで注目すべき「結婚を妨げる現代の日本における闇」について、その正体を明らかにしたいと思います。

…それは、奨学金という名の借金です。

結婚を遠のかせる「奨学金」の実態

日本学生支援機構によると、奨学金を借りる学生の割合は2人に1人に迫るほど利用率が上昇してきているそうです。

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出典:日本学生支援機構について(平成29年3月)より

そして、一人当たりの奨学金借入総額は平均312.9万円にも上るというのです。

こうした実態を考えると、夫婦2人とも大学時代に奨学金を借りていて、結婚することで、2人分の多額の奨学金を返済しなければいけない状態とともに結婚生活をスタートしなければならない現実がそこにはあるわけです。

果たして、この奨学金という借金を夫婦2人で抱えていたとしても、上記の主張である「夫婦共働きなら、経済的理由をクリアできる」ということが成立するのでしょうか。

ここでは、資金計画シミュレーション を用いて検証してみたいと思います。

夫婦で奨学金を借りた結婚生活

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出典:平成27年国民生活基礎調査より

上のグラフにあるように、日本における世帯所得の現状は

  • 平均値:541.9万円
  • 中央値:427万円

となっています。

夫婦の世帯年収

ここでは、より実態の状態を表しているといわれる中央値に近い年収400万円を夫婦の合計所得として考えていくこととします。

つまり、夫婦の収入として、

  • 夫:年収200万円
  • 妻:年収200万円

を想定し、二人が結婚することで世帯年収400万円の暮らしをシミュレーションしていくこととします。

夫婦の奨学金借入総額

上で述べたように、奨学金の借入総額の平均値は一人約313万円でしたので、夫婦2人で626万円の奨学金を借り入れたことを想定していきます。

奨学金貸与・返還シミュレーション - JASSOを用いて、返済状況をシミュレーションしていきたいと思います。

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このように、夫婦で626万円を借りた場合の返済額は、月1%の金利を用いた場合

  • 2万8964円/月

を20年間掛けて返済していくことが分かります。

毎月約3万円を20年間返し続けていくわけですから、相当な負担感であることは間違いありません。

夫婦のライフプラン

夫婦は同級生とし、22歳で大学卒業後

  • 5年後の27歳で結婚
  • 30歳時に子ども1人を授かる

こうした状況で、奨学金を返済しながら達成できる生活水準を探っていくこととします。

年収400万円奨学金夫婦が達成できる生活水準

ここでシミュレーションする夫婦の家計状況を確認すると

  • 年収400万円(退職金1600万円)
  • 児童手当
  • 貯蓄100万円

の2つが収入になります。そして、シミュレーションを通じて、共通する家計支出状況は

  • 奨学金月2万9,000円を返済(42歳まで)

という1点です。

この家計状況をもとに、実現できる生活レベルを検証していきます。

ベースとなる情報

以前、こちらの記事で日本での平均的な暮らしを実現するために必要な年収をレポートしました。

結果、日本における平均的な暮らしを実現するため必要な年収は年収600万円程度となったわけで、ここで想定した年収400万円+奨学金返済夫婦は、当然ここから何かをあきらめなければいけません。

  1. 生活費を削るのか
  2. 住宅費を削るのか
  3. 車をあきらめるのか
  4. 教育費を削るのか

大きく家計支出を左右するのは、この4項目になるわけですが、まずは各項目を節約した状況をシミュレーションしていくこととします。

以下のシミュレーションで使用する金額の根拠は、日本という国で、平均的な暮らしをするために必要な年収をレポートを参照してください。

① 4項目を節約した暮らし

 

まず4大支出項目を次のように節約した暮らしを考えていくこととします。

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各項目をそれなりに努力し、節約した暮らしになっています。

この条件での家計シミュレーション結果は、次の通りになりました。

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子どもが生まれる前から赤字になっていることから、生活費20万円がそもそも高いことが分かります。

それでは生活費をいくらに削減すれば、赤字家計から脱出できるのでしょうか。次のシミュレーションは、生活費をさらに節約しながらシミュレーションを実行していきます。

② 生活費月10万円の暮らし

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生活費を月10万円に節約した暮らしのシミュレーションで、ようやく貯蓄がプラスマイナス0程度の暮らしになりました。

家族3人で生活費10万円とはかなり非現実的な金額ですよね。食費だけでもそれだけ頑張っても5万円程度はかかってしまうでしょうから、衣類や光熱費等にお金をかけることができない状態になってしまいます。

それでは、生活費は20万円のまま、住居費を節約することを考えてみたいと思います。

③ 住居費ゼロの暮らし

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住居費を限りなく0にしていきました。実家に夫婦で居候したような想定でしょうか。

仮に、住居費にお金をかけなかったとしても、赤字家計から脱出することはできないというシミュレーション結果になりました。厳しいですね。

ここまでシミュレーションをしてみて、ちょっとやそっと節約や削減をしたところで赤字家計から脱出することは難しいことが分かりました。

それでは、家計が赤字にならない暮らしはどういった生活レベルなのでしょうか。

④ 赤字家計を脱出できる暮らし

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こちらのシミュレーション結果は、何とか一度も貯蓄をマイナスにすることなく生活できる状況になっています。

この結果を得られた生活は果たしてどういった状況なのでしょうか。

奨学金を借りた年収中央値の生活レベル

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生活費と住居費を合わせて18万円であれば、その中のバランスは変えることができますが、家族3人で月々18万円の生活は非常に厳しいレベルと言わざるをえません。

地方においては、自動車は必須の場合もありますので、車を持とうものならさらに生活費を削減していく必要が生じます。

保険にも入れませんので、夫婦どちらかが病気になってしまえば、家計は即破綻してしまいます。

これを見る限り、世帯年収400万円で奨学金600万円を抱える夫婦が、子どもを育てていくには厳しすぎる未来がそこにはありそうです。

 結婚すると生活はさらに苦しくなる

今回のシミュレーションいかがだったでしょうか。

未婚率の上昇には、ここで示したように奨学金という借金を背負いながら社会人生活をスタートする人の割合の上昇が背景にあるのではないでしょうか。

夫婦で奨学金を借りていた場合、当然夫婦として背負う借金の額は大きくなります。借金を払い終えるのは、40歳近くになってからという現実からも、そこから婚活をしていく気力が果たして沸くでしょうか。

最近、日本における奨学金というシステムを疑問視する声が高まり、多くの書籍が出版されています。

実態を知ると、ここで紹介した一人300万円程度の借入金はまだまだまともなほうで、今や一人600万円以上も奨学金を借りた状態で社会に出る若者が多くいるそうです。

夫婦合わせて奨学金1000万円を返済しなければならないとするならば、果たして結婚という選択をすることができる方はどれほどいるのでしょうか。

「奨学金利用率」と「未婚率」これらには相関関係はもちろん因果関係があるといってもいいのではないでしょうか。